最初にやったこと。会社を首になった日のこと。(その2)

事実上の解雇宣告を受けて、会社から追い出されたあとに、まず最初にやったことは両親へ事情を説明することだった。今まで病気のことや仕事のことで迷惑をたくさんかけていたし、これからより大きく負担をかけてしまう。さらに、将来の僕のことも心配しているだろう。だから、真っ先に説明するべき人だと思ったのだ。

両親に電話をすると、父親が電話口にでた。まず「会社を首になった」と伝えた。最初は驚いていた。
「今すぐ私物をまとめて出て行けということになった」
「詳しいことは明後日直接実家に出向いて、もう一度細かく説明する」
ということを伝えた。以前から病気のため、いつ首になってもおかしくはないということを説明しておいたのが良かったのか、それとも親としての愛情なのか、最後には「お疲れ様」と言ってくれた。「今までも、そして今後も迷惑をかけてごめんなさい。弟と違って落ち着きのない、ダメな息子でごめんなさい。」と謝った。

次に話したのは彼女さんだった。
「会社を首になったよ。」と伝えたら、すぐに「お疲れ様。よく頑張ったね」と言ってくれた。彼女さんは以前から今の会社を辞めてしまえと言っていた人なのだけど、こうして実際に首になった自分を受け入れてくれたのはすごくありがたかった。口で言うだけじゃなくて、実際にその場に至ったときに、柔らかく包んでくれる彼女さんの強さと優しさに涙がこぼれそうになった。

そのあと、家に帰って彼女さんと会って社長との当日のやりとりを話した。話しているうちに、涙がボロボロこぼれてきてしまってとまらなくなってしまった。この会社には首を宣告される前にすでに見切りをつけていて、もう未練なんかないはずだったのに。今まで、精神的に辛くても、会社を休みがちになっても、それでも何とか出来る精一杯をやってきて、少ないなりにも成果を出していたつもりだったことが認められなかったのが悔しかったのかもしれない。経済的なものを失ってしまったのにそれでも、優しく包んでくれる彼女さんが温かかったからかもしれない。

僕は彼女さんの目の前でボロボロ泣いた。